以下のように組合の意見を学長に伝えました。
2003年11月26日 九州大学長 梶山 千里 殿
九州大学教職員組合
執行委員長 小早川義尚
法人化後、私たち教職員の労働条件は、大学法人との労働契約により決定される ことになります。労働契約は、労働者と使用者が対等の立場で決定することが法 の要請しているところです。従って、労働契約の実質的内容をなす就業規則の制 定にあたっては、教職員の要求を最大限取りいれたものでなければなりません。 そのためには、単に部局長会議での審議だけでなく、各部局において就業規則案 の説明と教職員の意見表明の機会をつくるべきです。
九州大学就業通則(以下「通則」という)第15条2項C及び九州大学教員就業規
程(以下「教員規程」という)第6条2項C に「予算の減少により、やむを得ず職
員の減員が必要となった場合、解雇することがある。」と規定しています。
この規定を許すことになると、教員にとっても職員にとっても予算削減のたびに解雇の脅威にさらされることになります。「この部門は予算減少により、職員は解雇の上、アウトソーシングとする。」等とする安易な人減らし合理化が進行することとなるでしょう。財務省・文科省が現在準備している運営交付金への 「効率化係数の導入」及び「義務的経費から裁量的経費への変更」の動きによっては、毎年、予算減少が現実になることが予想されています。
通則は、第25条(遵守事項)EFGで、政治的活動、宗教活動、放送・宣伝・集会及び文書画の回覧掲示、文書画の配布を禁止しています。
憲法は、国民の基本的人権の中で精神的自由として、思想・良心・学問の自
由、集会・結社・言論・出版その他表現の自由を保障しています。大学の教育研
究の基盤ともなる学問の自由は、他の精神的自由である思想・良心、集会・結
社・言論・出版その他の表現の自由と不可分の関係にあります。大学がひとり一
人の教職員の自由な発想と自律性の尊重及びこれを根底で支える人権の保障に
よって発展していく共同体である限り、集会の自由、表現の自由、政治活動への
規制は、大学にふさわしくない規定といえます。
また、これらの規定は、教職員組合運動にとって事業場内活動を一律に禁止す
るものであり、今後、教職員組合が、法人化後の教職員のより良い労働条件をつ
くり出していく運動を進める上で大きな障害になりかねません。
現在定着している休息時間15分を含む実質60分の昼休みは保障すべきです。さ らに拘束時間が17時15分まで、15分延長するのは、労働時間短縮によって17時を終業時刻とするべきです。 そうしたとしても、現在の公務員時代の労働時間と何ら実質的に変らないので、社会的説明がつかないことはありません。
教職員が大学の施設、資源等を利用して生まれた発明等に関する教職員の権利
について就業規則に規定すべきです。法人化で大学が有する知的財産活用が大学
経営上の大きな柱にされようとしています。これを見越して通則18条2項で「営利企業への就職」を制限しようとしているとも思われます。
大学の施設、資源等を利用して生まれた発明等であっても、その発明をした者への権利が伴うことは明らかであり、現在民間でも発明者の権利について紛争が
起きていることなどを考えれば、就業規則の中に発明者の権利及びそれに関する
不服申し立ての制度を規定すべきです。
九大教員の約4割が適用されている任期制について、次の事項を規定すべきです。
@再任されるか否かは、本人にとって退職にも匹敵する問題であり、退職に関す
ることは就業規則に必ず記載すべき事項(絶対的記載事項)であり、それに準じ
て、就業規則に記載すべきです。その際、再任されなかった者の不服申し立ての
制度を整備すべきです。 A育児休業制度は任期付き教員にも適用されると聞いていますが、育児休業を取った教員については、その任期から育児休業期間を除いて任期を延長すること。
このような措置をしないと、例えば5年任期で3年育児休業をとると実質在職期
間=研究期間は2年となります。2年の在職期間で研究業績評価を行われることに
なれば不公平であり、育児休業を取るのは女性研究者が多いことを考慮すれば、
男女共同参画社会の理念に反することになります。
人事院への不服申し立て制度が適用されなくなるので、遵守事項違反や懲戒によ る被処分者の人権に配慮した弁護権、処分事由と処分均衡などを内容とする不服 申し立ての制度を設けること。
これらの大半が現在、明示された規定にはないが、実際上長期にわたり教員人事のルールとなっており、労働慣行となっているもので、就業規則の内容とすべきものです。
定年に達する年齢の職種による違いは、正当な理由とは言えず、職種による不当な不均衡取扱いであり、教員とその他の職員と を同じ定年にすべきです。
10.教員人事の基本方針の教員選考規定Uの2記述の「定年退職教授の後任補充」 については、該当する教育研究分野の特性を把握している部局教授会の判断による現行のシステムによるべきであります。全学の将来計画委員会と総長の意向を
重視するシステムへ変更することに、どのような意義と目的があるのか明らかにすべきです。
@異動と出向は別の条項とし、異動については、2週間程度の内示期間を規定する こと。出向については、在籍出向、離籍出向については、該当者から同意を取る とした組合への回答を明記すること。
A就業規則は労働契約の内容規定が主目的であり、第5条の採用時の誓約書は、国
家公務員時のものであり不要と思えます。
B通則第11条(退職)Bの「期間を定めて雇用され、その期間が満了したとき」
は、どのような者を前提に規定しているのか明らかにしてほしい。「大学の教員
等の任期に関する法律」に基づく任期と期限を定めて雇用(有期雇用)とは、別
の制度です。
C通則第23条(職務専念義務)について、第22条に「誠実義務」の規定がある上
に、さらに「職務専念義務」を規定する必要はないのではないか。また、その内
容も「・・注意力のすべてをその職務遂行のため用い・・・」は、職場でのメンタルヘルスの上からも行き過ぎではないでしょうか。
D通則第21条(勤務評定)について、教員については、教育公務員特例法の趣旨
を容れて「教授会の議に基づき行う。」と規定すべきです。また、教員については、勤務評定を行わないのであれば、職員(教員は除く。)と明記すべきです。
E就業規則と労使協定(事業場協定)及び労働協約との関係を明記してほしい。
労使協定が締結されないと、時間外勤務、休日勤務、変則勤務時間等は命じる
ことはできないので、それぞれの箇所に「労使協定が締結された場合、時間外勤
務及び休日勤務をさせることがある。」とその旨明記すること。
また、「就業規則と異なる労働契約の適用を受ける職員については、就業規則
の当該部分は適用せず、労働協約の定めるところによる。」と記述すること。