九州大学教職員組合第118回臨時組合大会(2004.12.14)において九大移転に関する以下の議案が決定されました。

「九大移転の現状と今後の運動について」

 国立大学法人九州大学は、本年9月、従来の元岡地区への移転事業を見なおし、第1ステージで行われる工学系の移転後は、第2ステージにおいて福岡市土地開発公社が取得・造成した土地の再取得を優先することにした(資料1)。国からの予算措置が不十分な中で九州大学の再取得が遅れ、金利負担も膨大になっているのがその理由である。従来の計画では「移転開始からおおむね10年で移転を完了(平成11年7月将来計画小委員会決定)」となっていたが、結果として移転完了は5年延長されることになった(平成31年完了)。

 移転事業計画当初は、六本松地区や箱崎地区の跡地処分代で移転費用を捻出する計画だったが、バブルがはじけて破綻が生じた。さらに、国の経済状況が好ましくない中で大学が法人化されて運営交付金に効率化係数が導入されることになり九州大学の予算はますます厳しくなってきている。

 具体的な厳しい資金繰りとそれをめぐる状況は以下のようになっている。

1.平成15年度末で、土地公社が土地の取得・造成に要した総額約671億円のうち、九大が再取得した額は約251億円(37%)で約420億円の残額がある(資料2)。金利負担を年1.7%とすると年7億円の利息が発生する。さらに、来年度着工予定の第2工区(主に、文系地区)の造成費用を約80億円とすると、今後、総額約500億円の費用が必要となる。今年度の土地再取得分の概算要求額51億円に対して実際に認められた費用は24億円である。今後、このペースでいくと、土地の再取得に約20年かかることになる。

2.今年度認められた建物建設費が約70億円である。もともとの資金計画では移転費用総額約2500億円のうち、土地代500億円、建物建設費2000億円と言われていた。仮にそうだとすると(実際はもっと高額になると予想される)、建物関係だけで30年近くかかる移転事業である。

3.来年度から移転する工学系の東講義棟と西講義棟のうち、東講義棟の完成は移転から半年以上、西講義棟は移転から6年以上遅れるため、学生の講義は研究棟の一部を使用することになる。結果として、劣悪な教育・研究環境となる。また、工学系のかなりの研究・実験施設機器等を、当面、箱崎に残した移転となるため、学部・院生、教職員は元岡と箱崎の往復が不可避となり、かなりの費用と時間の往復コストがかかる。

4.引越費用の全額を国が措置しないため不足分を大学が独自に捻出することになるが、結果として、各研究室の基盤経費にしわ寄せがいく。来年度は約20億円不足するといわれている。

 以上のような状況下で、今後、予想される九州大学の姿は以下のようになると危惧される。

 土地の再取得、建物建設、引越事業など、移転総事業が完了するのに今後30年かかり、移転名目の“統合キャンパス”とは裏腹に、実質的に“分散キャンパス”となる。この間、元岡地区では慢性的な建物・施設不足が生じ、箱崎地区ではいずれ移転するとの名目で新しい建物が建設されず、老朽化する建物・施設内での教育・研究となる。元岡・箱崎間の往復に多大な時間と費用がかかり、学生・教職員は移動だけで疲労する。一方、不十分な予算措置を補充するため、研究室の基盤経費や人件費の削減に波及する。結果として、このような教育・研究の悪条件のもとでの九州大学は魅力が薄れ、優秀な学生や教員が集まらなくなる。

 九州大学教職員組合は、移転事業に対して当初から、水問題、古墳問題、環境破壊問題、資金問題などを指摘してきたが、移転そのものについては、賛否の態度を明確にしてこなかった。

 しかしながら、いままで見てきたような事態が懸念される以上、九州大学教職員組合としては、従来の立場からさらに踏み込んで以下の立場を取らざるを得ない。

1.    平成17年度から着工予定の第2工区(主に、文系地区)の造成スケジュールを凍結する。

2.    移転計画に関して全ての教職員・学生の意見を踏まえた全学的な議論と必要な見直しを要求する。