法人化後の雇用・労働条件での第1回学長交渉結果について2003年10月28日 九州大学教職員組合執行委員会 9月29日開催の学長交渉では、法人化後の私たちの雇用と労働条件について の重要な回答が出されました。執行委員会として、交渉結果を分析し見解を明らかにし、今後の取り組みに生かしていきたいと思います。 労働関係諸法規の趣旨に従うことが、社会的説明責任の第一歩回答に先立ち、学長は「労働条件問題は、働く者の基本的権利でありできる範囲でやりたいが、法人化されて自由度は増すが規制もあり社会的説明責任が伴う ので、透明性と共に社会的説明ができる範囲で回答したい。」との基本姿勢を明 らかにした。また、事務局長は「法人移行にあたっては、大幅な制度改訂はしないことを原則に制度設計を行う。」と回答した。 交渉の中で、法的にも確立している労働慣行を遵守すること、定員外職員を正規職員しないと労基法の均衡取扱の規定に違反すること等の追求に対して、まと もな回答はなかった。社会的規範である労働基準法を始めとした労働関係諸法規に従うことこそが、社会的説明責任そのものであることは自明なことである。 また、法人移行にあたっては、「大幅な制度改訂はしない。」等、事なかれ主義ともいえる姿勢でなく、不安定で差別的な存在である定員外職員の処遇を新たな労働法制の下で正常化し、きちっと正規職員として位置づけるなどの積極的な姿勢を大学は示すべきである。 定員外職員・パート職員などの学長発令職員の雇用継続等いくつかの前進 (1)「現行の雇用・労働条件を下回らないようにすること。」との要求に対して、学長は、「原則として承継職員等の職員については、現行の雇用・労働条件 を維持する。」と回答し、定員外職員・パート職員などの学長発令職員の雇用継続を約束した。このことは、私たち教職員組合が、法人化にあたって一人たりとも首切りはさせないと運動してきた成果であり評価できる。しかし、10年以上も継続雇用されているアルバイト職員については、当局として、その実態さえつかんでおらず、雇用の継続を約束していない。今後の交渉にかかつている。 また、「現行の労働条件の維持」を約束しており、このことは、定員外職員の賃金(賞与を含む)、休暇等の労働条件について、現在実施されている水準が法人化後も維持されるものと解釈できる。 (2)「法人化で適用されなくなる教育公務員特例法の趣旨を学内規則に規定する。」要求に対して、「原則として教育公務員特例法や人事院規則の趣旨に照らして制度設計を行う。」と回答した。この制度設計が、最終的にどのような就業規則・学内規定として実現されるか今後監視していくことが必要である。 (3)「育児休業・介護休業について、現行に準じて制度設計を行う。」との回答であり、現在3歳まで育児休業が取ることのできる制度が維持できるものとして、 評価できる。 (4)「労働安全衛生法に基づく設備などの改修について、3月まで完了させる。」 との具体的回答がなされた。 (5)「解雇条項については、国公法に準じた規定にする。」との回答であり、国公法の身分保障の趣旨が生かされるのであれば、評価できる。但し、「職員の減員が生じた場合は解雇できる。」等の規定が盛り込まれることになれば、大きな問題になろう。 正規職員化の要求等で後退(1)定員外職員の正規職員化の要求に対して、従来の姿勢から後退し、文科省の指導を理由にして、要求を否定する回答に終止した。このことは、法人化により大学当局の当事者能力が飛躍的に高まり、各大学の自由裁量により、不安定で差別 的定員外職員の処遇を正規職員にすることができるチャンスを生かそうとしない姿勢であり不当である。新たな大学法人のスタートに際して、学長を補佐する事務局が、依然として文科省の鎧の下に隠れ、自ら責任をとろうとしない官僚的体質を抜けきっていないことを示すものである。 (2)「更新を繰り返して雇用されている定員外職員等については、期間の定めのない雇用とすること。」との要求に対し、「事業の都合上、従来どおりの年度内雇用とする。」と回答し「一年雇用を繰り返す。」とも回答した。 (3)「法人化後も教授会の位置づけを現行と同じようにすること。」との要求に対 して、「学校教育法59条で規定により、教授会を置いて部局の教育研究の重要事項を審議することは変わらない。」と回答した。しかし、学校教育法59条の規定には「大学には、重要事項を審議するため教授会を置かなければならない。」とあり、「大学の重要事項」を「部局の教育研究の重要事項」と言い換えていることは、看過できない問題である。 (4)法人化後は、終業時間を現在の17時から17時15分へ変更すると回答し た。一日の拘束時間が15分であれ延長されることは、労働時間短縮の流れから逆行するものである。 (5)「教職員の定年を年金支給開始年齢に応じて65歳まで引き上げること。」と
の要求に対して、「教員の定年については、年金支給年齢に応じ延長を検討中であるが、職員については、再雇用制度を設ける。」と回答した。職員の方が年金支給との関係では深刻であるのに、なぜ教員だけを年金支給年齢に引き上げるのか、明確な説明が全くなかった。 (6)「法人化前の交渉であっても労働組合法に準じた交渉ルールによること。」との要求に対して、まともな回答をしなかった。当局は法人化前であつても、労働 基準法を前提として就業規則等の準備(過半数代表の選出等)を進めざるを得ないのが現実である。 回答の大半が「現行制度に準じて制度設計」と先送り当局は、就業規則などまとまったものを一度に提示するのでなく、さみだれ的に検討し提示するとの方針を明らかにした。回答の大半は、「この要求については、法の趣旨にそって制度設計」等具体的な内容を示すものではなかった。最終 的にどのような労働条件になるかは、今後の組合の運動と交渉にかかっており、32項目の基本要求の実現までねばり強い取り組みが必要といえる。 なお、学長交渉(9月29日)の詳しい報告も見られます。 |