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任期制「同意書」の提出にあたって
法的問題と学長交渉での確認

2003年3月6日 九州大学教職員組合


一.任期制導入をめぐる法的問題
1.再任制は、任期制法の趣旨に反する。再任はあくまでも例外的な措置。

任期制法は、流動化を目的に制定されたもので、任期終了後は退職するのが本来のあり方です。だからこそ、法的に、任期制の導入は限定的とされるのです。学長ほか一部の研究院長が主張する「勤務評価」は、任期制度とは法的には別次元の問題です。
重要な点は、任期制導入後は、部局長や学長の勝手な誤った解釈とは無関係に、任期制法の本来の趣旨どおりに「第3者評価機構」による厳しい流動化率のチェックが入り、任期付きのポストにいる人は、原則的に辞めなければならない可能性があることです。

2.任期制の一律導入は、任期制法の趣旨に反する。任期制法はあくまでも、「先端的、学際的または総合的な教育研究」分野におけるものであり、本来は「限定的に導入される」べきもの。

任期制法は「限定的な導入」を趣旨としており、現在進められている一律導入がこれに反することは、1997年5月参議院文教委員会における雨宮高等教育局長の見解、九大部局長会議における法規掛長の発言、任期制法に対する衆参議院付帯決議からも明白です。
関係部局長は「早晩、全学一律導入が課せられるから、部局で先に導入した方がベタ−」などと説明しましたが、九大人事課長との懇談会(2003年2月20日)においても事務サイドとしては「全学一律導入を書類に盛り込んだことはないし、それを薦めたこともない」と発言しています。

3.任期制一律導入の際の法的基準や規定は存在しない。

任期制法第4条1項が該当の根拠とされていますが、ここに掲げられた「先端的、学際的または総合的な教育研究」分野への適用は、各部局が勝手に全ポストがこれに該当すると判断しているのであって、何らかの法的基準や規定に基づいて判断しているわけではありません。いわば部局によって恣意的に全ポストが任期付きにされている状態です。
上述の人事課長との懇談会でも、この点については、すべて部局の意向であることが明らかになりました。

4.現職の教員への任期制の導入は、依然として根拠は曖昧なまま。

任期制法では、任期制の導入は「その職に就けるとき=任用」に際してと規定(任期制法第4条1項)されており、 既にポストについている教員に対して、任期制ポストへの任用があり得るのかが問題です。
当局は、任期なしのポストから任期付きのポストへの「配置換」を行い、これを「任用行為」と見なすつもりのようです。「配置換」が「任用行為」にあたることは、人事院規則8−12「職員の任免」第3章第5条に記載がありますが、これは教員の場合は職階制が実施されていないため適用の対象外です。
この点で人事課提出資料には、「昇任または降任の場合を除き、職員を任命権者を同じくする他の官職に任命する場合」は「配置換」と運用するという昭和43年6月1日人事院事務総長通知(任企344号)が含まれていました。しかし、人事課自体も、関係部局長も、この点は一切触れていないし、またそのような運用が一般論として存在するにしても「任期のない教授」と「任期付きの教授」は「他の官職」と言えるとか、またこうした運用が大学教員にあてはまるとかの解釈を、人事院は何らしていません。
このように現職教員のまま任期を付けることが任用行為なのかどうか、任期制法に該当するかどうかが、依然として曖昧なまま「同意書」取り付けが強行されようとしているのです。

二.「同意書」をめぐる法的問題
 1.「同意書」を出さない限り、自らに任期を付されることはない。
 
 任期制付きのポストへの移行には、本人の「同意書」が必要であり、それを拒否した場合は任期は付されず、当該ポストは任期なしのままです。これは、上述の人事課長との懇談会でも確認済みです。

 2.「同意書」を出さなくても、「提出しない人が不利益になるようなことはしない」。

 「同意書」は強制されたり、「提出しない人が不利益になるようなことはしない」ということは、2月28日に行われた学長交渉において、学長が明言しています。この点は、上述の人事課長との懇談会でも確認済みです。「同意書」の強制は、違法行為なのです。

 3.「同意書」を提出しない場合。

この場合、本年夏から秋に予想される就業規則の作成において任期制の導入が再び画策された場合、労働条件の不利益変更とし
て、労働基準監督署に申し立てることができます。これによって自らの労働条件が保障される可能性は極めて大です。

 4.「同意書」を提出した場合。

この場合、就業規則作成の際、そのまま労働条件に任期制が盛り込まれることに対して異議を申し立てることは困難です。労働条件の不利益変更として労働基準監督署に訴えても、認められない可能性が大きいのです。しかも、不服裁判を起こしても、現在の判例の流れでは勝てる保障はありません。となると任期終了後は、原則的に辞めなければならないことになります
したがって、すでに任期制を導入した部局においては、今回の地位の変更が独法化以後に継承される可能性が高いといえます。

三.学長交渉での確認(抜粋)
「同意書」を強制したり、提出しない人が不利益になるようなことはしない

(1)研究者の雇用の不安定化をもたらすとともに、教育・研究の発展に悪影響を及ぼす教員の任期制を廃止すること。新たな導入はしないこと。
(学長)任期制は流動性を高め、多様な人材を確保する目的で作られたもので、教育・研究を活性化するための意義は大き
い。
(組合)法の趣旨や目的は教員の流動化であり、学長がいう「勤務評定」ではない。
(学長)任期の言葉、解釈に問題がある。私は、ある期間を定めた「評価制度」であると認識している。
(組合)法律は教員の流動化が目的で、その趣旨に沿って運用がなされるのではないか。
(学長)流動化は九大だけではできない。流動化を高めるためのひとつの方策である。
(組合)実態が「評価制度」であれば任期制ではなくそれに即した手法をとればよいのではないか。
(学長)個人の「同意書」は本人が同意しなければ任期付きにはならない。
(組合)「同意書」を提出するように強制したり、実質的な強制にあたるような勧奨をしないこと。出さなかった人が不利益にならないことは確認したい。
(学長・事務局長)それはごく当たり前のことで法的にもそうなっている。
(組合)助手は多様な形で教育研究にかかわっているが、すべて一律に導入できるのか。
(学長)専攻分野で全然違うと思う。自分の分野では助手も教授と同じに扱ってきた。
(事務局長)例えば事務助手の実態があるが、これに任期をつけることはできない。それはそれぞれの講座で判断されればいい。

*九大における任期制導入をめぐる法的問題、「同意書」提出の意味、その他チラシの内容についてご質問、ご意見があれば、ぜひ教職員組合へお尋ねください。
*また、「同意書」提出を強制されたり、提出しないことで不利益に扱われると感じたら、ぜひ組合にご相談下さい。
組合でも顧問弁護士とも連携して対応していきます。

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